きずの治癒遅延因子、「浸軟」

 

 

 指の怪我で多いのですが、写真のように、絆創膏を貼ったまま、水仕事などされると皮膚がふやけます。これを浸軟とよびます。この状態では傷の治りが悪くなります。

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湿潤療法は傷を乾かないように、創傷被覆材で覆う治療なのですが、ただの絆創膏では過度に湿潤して浸軟してしまうか、逆に軽い傷の時は浸出液を吸い上げすぎてカピカピのカサブタ状態になってしまいます。これもまた傷の治癒を遅延させる原因です。

 

当院では傷の状態に合わせて、適切な創傷被覆材をご提案しています。次の写真は治癒した時ですが、皮膚の状態はこのように浸軟していない方がよいのです。

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岐阜 形成外科・美容外科ぎふスキンケアクリニック きず やけど けが 湿潤療法 に関する投稿

かさぶたになった。治った?それとも湿潤療法が必要?

キズの「かさぶた」って良いものか?悪いものか?

 擦り傷や切り傷の治療方法で正しいものはいくつかありますが、正しい考え方は一つです。それはmoist wound healing湿潤環境です。傷からは本来浸出液と呼ばれるいわゆるジュクジュクした体液が出てくるようになっています。「かさぶた」はその傷を乾かすことにより浸出液が固まってカチカチになったものと考えることができます。かさぶたが傷にくっついているということは、傷が治っているということとは全く違います。新しい上皮組織が傷をふさごうとする治癒機転を妨げているということになり、かさぶたの下で傷は存在しつづけているのです。時間さえかかればかさぶたの下で上皮が張るのですが、湿潤療法よりは、はるかに遅延します

 また、かさぶたはたんぱく質のかたまりであるので、細菌感染の母地になり得ます。つまり、かさぶたの下で傷が膿んでしまうリスクを抱えることになるのです。

 しかし、必ずしも悪いとは言いきれません。従来よりかさぶた逆に、外部からの刺激を遮断するものだという考え方があります。物理的な刺激からや、汚水などからも傷を保護しているという考え方です。たしかに、かさぶたがつくと、痛みも軽減したような気がしますし、水がしみないから楽になります。

 創傷治癒の観点からは悪いものという結論です。外部からの刺激を遮断するのは被覆材の役割なのです。

 

かさぶたになってしまった傷に湿潤療法を行うのか?

はい。行います。2つの方法があります。

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①かさぶたを外来処置で除去します。そして傷をあらわにして被覆材による湿潤療法を行います。

これは湿潤療法で湿潤が足りなくてできた部分的なかさぶたなど、比較的痛みなく除去できるなら上記のように処置します。しかし、かさぶたがしっかりとくっついていて、また小児で処置が困難な場合などは②のように処置します。

②かさぶたの上に被覆材で密閉します。すると浸出液が溜まりだし、すでに固着したかさぶたが柔らくなり取れていきます。洗浄や被覆材を交換するたびにかさぶたは取れてなくなっていきますから、通常通り湿潤療法を続けましょう。

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感染さえしていなければこれで問題ないと思います。すぐにかさぶたは取れます。

また、かさぶたができたから、湿潤療法は手遅れということは無いということです。

 

 

岐阜市薮田南 形成外科・美容外科ぎふスキンケアクリニック 湿潤療法・擦り傷・切り傷・けが・かさぶた・創傷治癒に関する投稿

けが・やけどQ&A

Q 湿潤療法とは、どのような治療方法でしょうか?

A 湿潤療法では傷口は水道水でよく洗い、消毒もガーゼも使いません。創傷被覆材を使用して、傷を適度な湿潤環境に保つ治療です。

 以前は、傷を乾かす治療法がとられ、傷が化膿しないように消毒しガーゼをあてるというものでした。ガーゼ治療はせっかく出てきた傷口を治すための浸出液がガーゼに吸い取られて蒸発してしまいます。その結果、傷口が乾燥し細胞が死んでかさぶたとなります。かさぶたが出来ると傷が治ったように見えますが、かさぶたは傷口を覆うのを邪魔するだけでなく、傷を化膿させる原因になります。また、ガーゼは傷口にくっついてしまうため、ガーゼを剥がす時に痛く、新しく出来始めた表皮細胞も一緒に剥がれてしまいます。

 Q 軽いけがや傷、火傷で受診してもよろしいでしょうか?

A ささいな傷や火傷でも受診してください。正しく治療することで、早く綺麗に治る可能性が高くなります。

 Q 湿潤療法の他に、どのような処置をするのでしょうか?

A 損傷の種類によって、処置の内容が違ってきます。

切り傷

ガラス片や刃物など鋭利なもので切れた傷です。手足においては比較的浅い層を走行する神経、血管、腱などの損傷を伴いやすく早期にそれらの損傷の有無を確認し適切な処置を受ける必要があります。一般的に周囲組織の損傷は軽度であり縫合処置などにより早期治癒が期待できます。

 擦り傷

道路で転んだり、壁にぶつけたりして、皮膚がすりむけた傷です。皮膚損傷は浅く多くの場合縫合せずに治ります。しかし、創面に微細な土砂、ゴミなどが埋入し、治った後も皮膚の中に残ってしまうことがあります。この状態を外傷性刺青と言いますがこれを防ぐためには受傷後早期に創部の洗浄を行い細かな異物を除去しておくことが大切です。麻酔をしてブラッシングしたり、それでも除去しきれない場合は、顕微鏡で見ながら先端のとても細い特殊なピンセットを使用して丁寧に異物を除去します。

 刺し傷

鋭利な器具が突き刺さって生じる傷で、傷口が小さくても奥行きが深いのが特徴です。異物が残っている場合には摘出が必要です。

 噛み傷

動物に咬まれた後に生じる傷です。動物や人間の口の中は雑菌がとても多く、その雑菌が組織内に押し込められることにより受傷後感染して膿んでしまう頻度が最も高い傷の一つです。十分な洗浄、抗生剤の投与、破傷風予防注射などが行われます。処置としては、縫合して傷を閉鎖する(一次治癒)と感染が悪化するので、縫わずに軟膏などをうまく使用して傷を徐々に閉鎖させいてきます(二次治癒)。感染がないことを確認できたらその時に縫合処置をして傷を閉じることもあります。(三次治癒)

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