眼瞼下垂手術の袋とじ(予定外重瞼線の予防)

 全切開式重瞼術や眼瞼下垂手術では、予定した高さに二重まぶたの折れ込みを作りこんで傷を閉じます。(重瞼線の作成)この予定した高さというのは縫い合わせた傷自体の高さです。この高さより上に折れ込みが入ってしまうのを予定外重瞼線といい、予定した線でしっかりと二重の折れ込みがはいらなくなってしまいます。

 予定外重瞼線は手術直後から一週間目までに気づきます。自然に改善することもあるのですが、改善しないと再手術を要しますので、怪しい患者さんにはその時点で袋とじと呼ばれる方法、もしくはつり上げを行って予防します。

 

 袋とじは簡便で効果的なので、よく行われる手法です。

 ヴェリテクリニックの室先生のブログにわかりやすいシェーマが載っておりました。この記事を見た直後に当院でも眼瞼下垂手術をしたので、紹介しました。

cimg4620袋とじのデザインです。紫ラインの3か所に睫毛側と眉毛側の皮膚どうしを縫合して、傷を塞ぐ形にします。

cimg4622このケースでは予定外重瞼線ができそうな中央部から内側にかけてのみ袋とじしましたが、全体に掛けておくことが多いです。少し目が閉じにくくなります。

 

第104回日本美容外科学会(JSAS)2日目備忘録

①二重の手術 埋没法と切開法の比較

 埋没法に関して。挙筋法といって、埋没糸を挙筋やミューラーにかかるようにしている先生が多そうな感じでした。眼瞼下垂をきたすこともあるので注意が注意が必要ですが、うまく工夫すると開瞼が軽度改善する症例もあるようです。糸のかけ方に、front tarsus techniqueとmasucle tarsus techniqueがあるのですが、FT法は自分自身経験が無いので、表から瞼板にうまく掛けるのにコツが要りそうな印象です。

 埋没と切開の利点がまとめられていました。埋没は、傷にならない、取り返しがついて、変更もできる、ダウンタイムが無い、うまくかけると下垂の修正もできるとのことで、切開法はたるみの除去ができる、脂肪の除去ができる、下垂の矯正ができる、消失が少ないということです。

 座長の先生が埋没を大変上手くこなしている写真がありましたが、現代ニーズには最もあっていると思っています。

②アンチエイジング メディカルスパ

 高濃度ビタミンCは民間療法ではなくEBMに基づいているもの。やはり、最近は美容目的で12.5∼25g、がん治療で50gが主流のようです。私もがん患者さんに投与して思うことは、疲労感の改善効果、夜間頻尿の減少、うつ状態や意欲低下の改善など、実感があります。投与に関しては硫酸マグネシウムの混注がポイントで血管痛を顕著に改善可能。ビタミンCがすぐにwash outされることに関しては、IVCの場合は細胞内にcharegeされ、1週間程度効果の持続を望めるとのことでした。

 ホルモン補充療法は日本での普及が他の先進国に比較して極端に遅れているようです。LOH症候群late onset hypogonadism加齢性男性性腺機能低下症候群いわゆる男性更年期に的を絞って解説、症状は認知力や感情の低下、メタボリックとなり、心血管イベントの増加、筋骨の機能低下、性機能の低下、肌のエイジング減少などなど。AMSスコアを見ると、意外に自分にも当てはまっている・・・。テストステロンやDHEAの補充療法を行います。テストステロンはグローミンクリームによる外用が安全で、内服やペレット(数か月ごとに皮下投与)は輸入です。前立腺がんのリスクAGAのリスクははっきりとは無いとのことでした。

 その他、EDに関しては、40代以上の6割も罹患率あるようで・・・。陰茎海綿体の血管機能低下や動脈硬化と言われています。中折れが初発症状で多いのも、泌尿器科医で無い私には初耳でした。最近の性感染症は梅毒が数年で10倍に増加、バラ疹を全身の他に、手掌足底にはっきり出ているのが特徴。

 海外でも上記のようなmen’s health外来が増加しているようです。

③ヒアルロン酸注入合併症の対処法

 動脈塞栓は即時に起こるトラブルで、術者がパニックにならないように対処します。皮膚に関しては環流域のまだらな皮膚障害と強い疼痛(急に叫ぶぐらい)その後の微小な皮膚膿胞形成です。ヘルペスやアレルギーと鑑別すべき。また網膜動脈塞栓では突然のブラインドです。注入部とその周辺に生食で溶いたヒアルロニダーゼを30単位/1pointぐらいずつ、大量に(1000単位でも)に注入、ブラインドの場合は一時間以内に球後針で注入するぐらいでないといけない。ヒアルロン酸を詰めた動脈をヒアルロニダーゼの溶液に浸し、その後動脈を開けてみるとちゃんと溶解していたという実験で、やはりダーゼを血管内に注入しようとせずとも、吸収されるため有効であろうということです。クリニックにあるダーゼをすべて使うつもりでということを何度も強調されていました。しかしもし可能ならば、眼窩上動脈などを露出させ直接注入するのが良いのでしょう。

 遅発性のトラブルでは、炎症性の結節か腫脹が挙げられます。膿瘍であればドレナージと抗生剤、肉芽腫であればヒアルロニダーゼ、biofilmが考えられるのであれば抗生剤、ステロイドが順に適応となります。過去に同部に他の注入剤、例えばダーマライブ、ポリアクリルアミド、ポリL乳酸、シリコンオイル、ハイドロキシアパタイトなどがすでに注入されている場合は、組織学的検討で自分の注入したヒアルロン酸が原因なのか、同定できるということです。

④METRAS社のブースで。

 MEDJETという針無しで、皮内注射ができる機器を試させていただきました。炭酸ガスの圧で、0.03㎜径の皮内注入が可能です。蚊の針が0.06㎜でそれより細いです。ほぼ痛みが無いです。半日ぐらいは赤味がありますが、何といっても注入が正確、痛みがほぼ無し、早い。毛髪再生療法HARGなど、ハンドで注入が難しい時に威力を発揮します。メソや多汗症ボトックスに応用できそうです。

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自分でやってみました。

IMG_02242時間後はまだ少し反応がありますが、半日程度で回復します。

是非導入したい機器です。

 当院では多汗症はボトックスによる治療が主ですが、viewHOTというフラクショナルニードルRFによる治療器を見せていただきました。

埋没法による二重まぶたの実際

 プチ整形の代表格で、糸で止める二重まぶた形成手術です。この埋没法には2点留や4点留など、皮膚を何か所切るかによって、名前がついています。1点留や3点留、5点留などを行うというクリニックもございますが、当院では特別希望がなければ2点か4点です。カウンセリングによって、どちらが適応か、しっかりとカウンセリング致します。

(この記事は手術の写真が載せてありますので、苦手な方は注意してご覧ください。また、文章のみご覧になりたい方は、当院までご連絡ください。)

 

 

 

 

 

 

 

 

今回は2点留の手術の実際を見てみます。

デザインの後、皮膚に麻酔の注射をします。

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 赤い点は糸を埋没させる予定の部分です。ここに30ゲージという大変細い注射針を使用して、局所麻酔を行います。当院では一か所0.02㏄程度を皮内に打ち込みます。大変少ない麻酔量ですからほとんど腫れません。また、針が細いのでわずかで済みます。針が細いことは、注射による内出血のリスクを減らしますから、腫れる可能性を下げることができます。

1㎜程度の小切開を行います。

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 先の尖がったメスを当てて、わずかに皮膚を切って糸を埋没させるスペースを作っていきます。これ以降、眼の中に何やら金属の板(角膜保護盤)を入れておりますが、点眼麻酔をしてありますから痛くありません。この板を入れて操作することで、誤って黒目に傷をつけてしまうことを防ぎます。またまな板のように使用するので、最初の切開がしやすくなります。クリニックによってはこの板を入れずに手術するクリニックがあります。この板を入れることで患者さんが苦痛だからとの理由だそうですが、黒目に傷がついたら大変なことです。安全第一です。

眼輪筋を広げておきます。

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 細い鋏の先を差し込み、傷の中にわずかにスペースを作ります。糸の結び目をこのスペースに埋め込んでおくためです。このスペースが不十分ですと、結び目が露出しやすかったり、透けて見えたりしやすくなる可能性があります。

まぶたを裏返し、瞼板に麻酔をします。

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 上瞼板動脈を損傷しないように必要最低限の麻酔量で結膜下、瞼板内に注射します。 ここで稀に結膜下に内出血を起こしてしまうとみるみる腫れてきます。もしそうなった時には瞬時に圧迫止血をし、一時手術を中断してでも、止血を優先したほうが腫れません。

まぶたの裏から表へナイロン糸を通します。

DSCF3698 DSCF3701 写真は結膜に刺す時と、皮膚から出す時の瞬間です。皮膚側に出す時に切り口の真皮にひっかけてしまうと、結び目がうまく埋入しにくくなるので、慎重に行っています。

同じ糸の反対側を瞼板に通します。

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そして引き続きその針をもう一か所裏から表へ通糸します。

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さらに皮膚の2点間の真皮を拾うように糸を通します。

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糸を結びます。

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 写真はすぐほどけるように仮結びをしています。当院では仮結びをした状態で一度座っていただき、できた二重のラインを鏡で確認していただきます。この時点ですでに少しは腫れ始めていますので、希望のラインより少し広く感じる方がほとんどです。左右差が強すぎたり、まぶたの開け具合そのものが弱くなっていたりするケースもあります。そういった場合はこの確認作業の後、適切な修正を行うことも稀ですがあります。

埋没法に関しては「腫れますか?」と「痛いですか?」という質問がとても多いですが、思い切って受けられますと、こんなもんかで終わることが多いです。しかし、患者さんごとに経過の個人差がありますし、医療行為ですので、完璧に安全ということは言いきれません。

術後は目が大きくなり、メイクがしやすくなり、アイプチから解放され、かわいくなって、と恩恵も多いのが事実です。

 

埋没法に関するQ&A

埋没法を如何に腫れなくするか?

 

岐阜市薮田南 形成外科・美容外科ぎふスキンケアクリニック 切らない二重まぶた、埋没法。手術の実際

二重まぶた埋没法Q&A

Q どれくらい腫れますか?

A 手術後はよく冷やしてお帰りいただきますので直後の腫れはごく軽度です。個人差はありますが、翌朝から泣き腫らしたような軽いむくみが2点留は2~3日、4点留は1週間程度です。

 Q 内出血はありますか?

A 内出血を起こすことはありますが、1~2週間で徐々に消失します。二重のラインの中に隠れることが多いです。

 Q 腫れぼったい目ですが埋没はできますか?

A デザインによっては十分可能なことがございます。丁寧にカウンセリングしますのでご来院ください。

 Q 手術の痛みはありますか?

A 麻酔の注射をする際にチクッと痛みはあります手術中の痛みはありません。

Q 形成された二重まぶたは何年ぐらい維持できますか?

A 個人差が大きいです。数か月で浅くなってくることもありますし、10年保っているという人もいます。二重が取れやすいまぶたというのはある程度わかりますので、カウンセリングご説明いたします。

 Q 手術後の運転は可能ですか?

A 腫れで運転できなくなることはまずありませんが、ご心配でしたら付き添いの方とご来院ください。

 Q メイクやコンタクトレンズはいつ頃からできますか?

A アイメイク以外は手術後から、アイメイク・コンタクトレンズは3日目より可能です。目に違和感があるときは延期してください。

 Q 昔他院で埋没をしたことがありますが取れました。再手術はできますか?

A 可能です。改めてその方にあった埋没法をご提案いたします。

Q 埋没法は何回受けられますか?

A 何度でもできます。が、基本的に溶けない糸を埋没します。つまり、異物をまぶたの中に残すことになります。異物を無駄に体内に残すことは推奨しませんので、複数回以降を考えている方は手術適応の見直しが必要なことがございます。

埋没法とアイプチ

 人気の埋没法。

 毎朝アイプチするようになってもう10年なんて方や、アイプチは一度すると、絶対やめられない!っていう若い女子は多いと思います。思い切って埋没法をやりたいとご相談に来られる理由になっています。

 しかし、アイプチやアイテープでかぶれたり、皮膚炎で真っ赤なんてことありませんか。

 接触性皮膚炎ですから、大丈夫な人は大丈夫だし、ダメな人はいつもダメなんだろうと思いますが、かぶれても我慢してアイプチするなんて、絶対やめてほしいです。

 そして、かぶれた状態で埋没法を受けたいと来られることもよくあります。できますか?

 答えは、お勧めはしません。以下のいくつかのリスクが挙げられると思います。

希望のラインより、狭くなる。

 かぶれて皮膚炎を繰り返している状態ですと、まぶた自体、割とむくんでしまっていることが多いです。むくんだ状態で希望の二重をシュミレーションして手術したとしても、むくみが引くとラインが狭く感じることになってしまいます。

 むくんだ状態でのデザインは正確性に欠けるということです。

内出血しやすい。

 炎症が起こっていると、その部位の血流が多くなっています。メスを入れたり、針を刺すと、勢いよく血が出ることもあります。内出血のリスクは高くなります。

感染しやすい。キズの治りが悪い。

 炎症が起こっていると、正常な状態より傷の治癒が遅れることがあります。また、その部の免疫機能が悪く、埋没した糸にばい菌が感染してしまう可能性出てきます。一度糸が感染すると、手術のやり直しということも、よくあることです。


 私たちはやはりかぶれている状況では1週間前後待って、治ってから手術が良いと勧めます。
しかし、長年、皮膚炎が続いた皮膚のむくみの引きは悪いことが多く、できるだけ長く待ってからが良い時もあります。しかし、あまり長く待ってもらうと、そのうち今日はどうしてもアイプチしなきゃいけないようなイベントに遭遇し、そこでまた皮膚炎を再開させてしまい、もうどうしょうもない状況になりますね。これ、ほんとよくあります。
 つらいでしょうが、埋没さえしてしまえば、毎朝のアイプチと皮膚炎から解放されるのですから、ちょっと我慢をお願いいたします。

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