目元におけるヒアルロン酸注入の限界

 しわといっても、小じわ、大きな深いしわ、表情でできるしわ、縮緬じわ、などいろいろあるのですが、部位としわの種類によって提供する治療法は違います。

 
 
 下記URLに目元のしわについて、その種類を示しました。
 目元のしわ、種類と治療

 今回は大変人気のある、目元へのヒアルロン酸注入で安全に何ができるか、考えてみました。

 

もっとも多い適応部位

 ヒアルロン酸注入によるしわ治療の適応は基本的に大きなしわ、凹みなどを直接皮下から持ち上げるのが目的です。ですからもっともよい適応は、鼻頬溝とよばれる、目頭から頬にかけての凹みです。

・ちょうど眼球の治まっている骨の下縁に沿ってできています。
・そしてその上には眼袋が出てきています
・眼袋によりさらに溝が深く見え
・段差が大きく
・クマがひどく見える

といったこと起こっています。
 
 

 さらに、頬の脂肪体が下垂してきているので、頬の上部(下まぶたとの境ぐらい)は平坦になって、何とも元気のない、老けた印象を出すことになります。

 この凹みはヒアルロン酸を注入することで、ふっくら持ち上げることができます。
 

・溝が浅くなる
・眼袋が目立ちにくくなる
・クマが改善して見える

 また、頬の上部がハリがでて、若々しい目元に改善できます。

チンダル現象に注意

 この注入で気を付けることは、いくつかあるのですが、たまに見かけるトラブルに、

「逆にクマがひどくなった。黒っぽくなった」
というものがあります。原因はヒアルロン酸の注入層が浅く、皮膚から透けてヒアルロン酸が青っぽく見える状態と考えます。(チンダル現象という方もいます)

 また、浅く注入すると、眼袋が下に膨らんだように見え、「眼袋大きくなって余計老けた」ということもあります。

 こうならないようにするには、注入はしっかりと深い層にヒアルロン酸を置いてくること以外にありません。通常は骨の上に注入するぐらいの深さで深くから盛り上げさせるように注入します。

 さて、以上のことからわかるのですが、下まぶたの小じわや折りたたまれた皮膚のたるみ、縮緬じわなどは、ヒアルロン酸では治療が困難ということです。
よく「小じわを平らにしてほしい」という方がみえますが、小じわをなだらかにしようとするにはきわめて浅い深さにヒアルロン酸を注入することになります。皮膚の薄い下まぶたでは、青く透けて見えるリスクが高く、とても勧められないということです。

ヒアルロン酸の応用・水光注射

 では、この小じわをヒアルロン酸を使って治療できないかというと、最近は水光注射という施術があります。
 微量のヒアルロン酸(マイクロリットル単位)で非常に細かく機械で皮膚内に注入する方法です。
これはヒアルロン酸でしわを持ち上げるのではなく、微量に含まれたヒアルロン酸により、肌にハリを出すのが目的です。この2年ぐらいで徐々に普及を感じる治療法です。
 水光注射はヒアルロン酸以外にも、いろいろな薬剤を微量注入できるので、応用があります。後日詳述します。
 

目尻ボトックスとマイクロボトックス

 笑いじわがひどくて、笑うとくしゃくしゃです、という方には目尻のボトックス注射が良いと思います。
ボトックスはボツリヌス菌の産生する毒素を利用して、注射することで筋肉への神経伝達をブロックします。したがって、筋肉が麻痺して、動かなくなるということになります。ただし効果は4か月程度です。

目尻ボトックス

 笑いじわのターゲットとなる筋肉は眼輪筋と呼ばれる、目を閉じたり細めたりする筋肉です。この筋肉の目尻付近に注射して、この動きを止めます。表情がなくなるのでは?と心配される方が見えますが、目尻のみであれば、ほとんど違和感はないと思うので、お勧めできる治療です。

しかし、笑いじわを訴えてこられる方の多くが、目尻のみでなく、目尻から広がる下まぶたや頬のしわまで、広範囲のしわを何とかしたいと言われます。

 問題は頬に近くなると、笑いじわを作る原因の筋肉が眼輪筋だけではなくなってきます。また、かといってこれら他の筋肉を麻痺させると、表情に変化が出たり、筋が弛緩して表情がたるんで見えてしまう可能性もでてきます。

でも、何とかしたいしわです・・・

そこでマイクロボトックスを追加します。

マイクロボトックスは筋肉の麻痺作用を狙うのではなく、筋肉には作用しないようにごく表面に細かく少量ずつ注入します。
●表面へ延びる筋繊維に作用させ小じわを緩める
●汗腺・皮脂腺の働きをブロックし肌質を整えたり、ニキビを予防する
●立毛筋を弛緩させ、毛穴を目立たなくする
●真皮コラーゲンの増生を促進して肌のハリをださせる
●注入時の皮膚への針刺しは創傷治癒を引き起こさせ、コラーゲン増生を促進させることになる


このような美肌目的の比較的新しい注入方法です。
マイクロボトックスはメソボトックスやボトックスリフト、シンデレラリフトなどと呼ばれ、注目されています。しかしリフトと呼ばれる施術では顔面下制筋を抑制してリフトアップ効果を狙う意味合いもあります。厳密にはマイクロボトックスとボトックスリフトは分けて考えられる、もしくはマイクロボトックスがボトックスリフトを含むとも考えれると思います。



 目尻はボトックスで表情じわを治療し、そこから下の頬、下まぶたはマイクロボトックスで肌のハリ・ツヤ・キメを治療して目立たなくさせる、という作戦をとると、目元のアンチエイジングが実感できると思います。

 実際は、下まぶたにマイクロボトックスをしても、眼輪筋に作用してしまうと思います。しかし、目がとじにくいなどの症状が出ない程度に、マイクロボトックスの効果を狙った少量注射で、良い結果が出ると思います。

目元のしわ、種類と治療

「目元(下まぶた)のたるみ」や「目元のしわ」、「クマ」など、30代後半ぐらいから徐々に患者さんが増えていきます。

 老けた印象や疲れた印象の目元。これは目元のたるみと、しわが影響しています。来院される患者さんは何をどう治療したらよいか、よくわからない方がほとんどですし、ヒアルロン酸!と言われる方もみえますが、そうとは限りません。このあたりを少し整理してみます。




本文の番号に一致
①眼袋(めぶくろ)

 眼球の下に眼球を保護するための脂肪があります。加齢とともに、前方へ押し出され、下まぶたにぽってりとドームが張り出してきます。若くして眼袋が目立つ方もみえます。


②鼻頬溝(びきょうこう)

 また、頬の皮下脂肪はたるみで下垂していきますので、頬の上部は平坦になります。眼袋(下まぶた)と頬の間には段差ができます。この深い溝を指します。


③瞼頬溝(けんきょうこう)

 ②の鼻頬溝をさらに外側へ骨の縁に沿って延長したラインのしわです。


 
④下眼瞼溝(かがんけんこう)

 涙袋の下の溝です。つまり眼袋の上に当たる部分の溝です。



 これら①②③④に対する治療は手術(下眼瞼形成術や脱脂術)、ヒアルロン酸、脂肪注入、FGF(成長因子)、PRP(多血小板血漿)などのfillerによる鼻頬溝、瞼頬溝の修正です。

 しかし④の下眼瞼溝へのヒアルロン酸注入、脂肪注入は少し注意が必要だと思います。




⑤全体に広がるちりめんじわ

⑥目尻から下まぶたの外側にできる笑いじわ



 ⑥は表情じわです。ボトックスによって眼輪筋を麻痺させることにより、笑ってもしわがよりにくくなります。⑤もふくめて、こういった浅いシワにヒアルロン酸を注入するのは難しいと思います。⑤のちりめんじわは美肌治療を行います。PRP、水光注射、ダーマローラー、ダーマペン、フラクショナルレーザー(YAG・炭酸ガスなど)、フラクショナルRF、レーザーフェイシャル、フォトフェイシャル、ケミカルピーリングなどなど、他の部位の適応も含めて選択しています。
 手術でちりめんじわや笑いじわを改善することは難しいと考えておいた方が良いです。

各治療の詳細については今後投稿していこうと思います。


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