第104回日本美容外科学会(JSAS)2日目備忘録

①二重の手術 埋没法と切開法の比較

 埋没法に関して。挙筋法といって、埋没糸を挙筋やミューラーにかかるようにしている先生が多そうな感じでした。眼瞼下垂をきたすこともあるので注意が注意が必要ですが、うまく工夫すると開瞼が軽度改善する症例もあるようです。糸のかけ方に、front tarsus techniqueとmasucle tarsus techniqueがあるのですが、FT法は自分自身経験が無いので、表から瞼板にうまく掛けるのにコツが要りそうな印象です。

 埋没と切開の利点がまとめられていました。埋没は、傷にならない、取り返しがついて、変更もできる、ダウンタイムが無い、うまくかけると下垂の修正もできるとのことで、切開法はたるみの除去ができる、脂肪の除去ができる、下垂の矯正ができる、消失が少ないということです。

 座長の先生が埋没を大変上手くこなしている写真がありましたが、現代ニーズには最もあっていると思っています。

②アンチエイジング メディカルスパ

 高濃度ビタミンCは民間療法ではなくEBMに基づいているもの。やはり、最近は美容目的で12.5∼25g、がん治療で50gが主流のようです。私もがん患者さんに投与して思うことは、疲労感の改善効果、夜間頻尿の減少、うつ状態や意欲低下の改善など、実感があります。投与に関しては硫酸マグネシウムの混注がポイントで血管痛を顕著に改善可能。ビタミンCがすぐにwash outされることに関しては、IVCの場合は細胞内にcharegeされ、1週間程度効果の持続を望めるとのことでした。

 ホルモン補充療法は日本での普及が他の先進国に比較して極端に遅れているようです。LOH症候群late onset hypogonadism加齢性男性性腺機能低下症候群いわゆる男性更年期に的を絞って解説、症状は認知力や感情の低下、メタボリックとなり、心血管イベントの増加、筋骨の機能低下、性機能の低下、肌のエイジング減少などなど。AMSスコアを見ると、意外に自分にも当てはまっている・・・。テストステロンやDHEAの補充療法を行います。テストステロンはグローミンクリームによる外用が安全で、内服やペレット(数か月ごとに皮下投与)は輸入です。前立腺がんのリスクAGAのリスクははっきりとは無いとのことでした。

 その他、EDに関しては、40代以上の6割も罹患率あるようで・・・。陰茎海綿体の血管機能低下や動脈硬化と言われています。中折れが初発症状で多いのも、泌尿器科医で無い私には初耳でした。最近の性感染症は梅毒が数年で10倍に増加、バラ疹を全身の他に、手掌足底にはっきり出ているのが特徴。

 海外でも上記のようなmen’s health外来が増加しているようです。

③ヒアルロン酸注入合併症の対処法

 動脈塞栓は即時に起こるトラブルで、術者がパニックにならないように対処します。皮膚に関しては環流域のまだらな皮膚障害と強い疼痛(急に叫ぶぐらい)その後の微小な皮膚膿胞形成です。ヘルペスやアレルギーと鑑別すべき。また網膜動脈塞栓では突然のブラインドです。注入部とその周辺に生食で溶いたヒアルロニダーゼを30単位/1pointぐらいずつ、大量に(1000単位でも)に注入、ブラインドの場合は一時間以内に球後針で注入するぐらいでないといけない。ヒアルロン酸を詰めた動脈をヒアルロニダーゼの溶液に浸し、その後動脈を開けてみるとちゃんと溶解していたという実験で、やはりダーゼを血管内に注入しようとせずとも、吸収されるため有効であろうということです。クリニックにあるダーゼをすべて使うつもりでということを何度も強調されていました。しかしもし可能ならば、眼窩上動脈などを露出させ直接注入するのが良いのでしょう。

 遅発性のトラブルでは、炎症性の結節か腫脹が挙げられます。膿瘍であればドレナージと抗生剤、肉芽腫であればヒアルロニダーゼ、biofilmが考えられるのであれば抗生剤、ステロイドが順に適応となります。過去に同部に他の注入剤、例えばダーマライブ、ポリアクリルアミド、ポリL乳酸、シリコンオイル、ハイドロキシアパタイトなどがすでに注入されている場合は、組織学的検討で自分の注入したヒアルロン酸が原因なのか、同定できるということです。

④METRAS社のブースで。

 MEDJETという針無しで、皮内注射ができる機器を試させていただきました。炭酸ガスの圧で、0.03㎜径の皮内注入が可能です。蚊の針が0.06㎜でそれより細いです。ほぼ痛みが無いです。半日ぐらいは赤味がありますが、何といっても注入が正確、痛みがほぼ無し、早い。毛髪再生療法HARGなど、ハンドで注入が難しい時に威力を発揮します。メソや多汗症ボトックスに応用できそうです。

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自分でやってみました。

IMG_02242時間後はまだ少し反応がありますが、半日程度で回復します。

是非導入したい機器です。

 当院では多汗症はボトックスによる治療が主ですが、viewHOTというフラクショナルニードルRFによる治療器を見せていただきました。

目元のヒアルロン酸注入でよくあるトラブル ヒアルロニダーゼで溶かす

 

目元のヒアルロン酸注入について

目元の美容上の悩みでよく聞くこと

・クマが目立つ

・皮膚のたるみ

・笑い皺や縮緬皺

・クマの下の深い溝

・目袋の突出

・涙袋の縮小

 などなど、たくさん挙げられるのですが、ヒアルロン酸注入ではこれらの症状のいくつかは改善することが可能です。

・クマの下の溝に直接注入することは後で述べるリスクがあるのですが、この溝のすぐ下(眼窩下縁)に注入することで、目元のたるみ感を軽減したり、頬がリフトアップした感じを出すことができます。また目袋の突出も幾分ごまかすことが可能です。

・細かいシワには非架橋ヒアルロン酸やコラーゲンを注入することでハリを出したりシワを浅くしたりできます。

・ふっくらした涙袋は若々しくかわいらしい印象を出すことができます。こちらも少し粘度の高いヒアルロン酸で形成することがでるのは、昨今の芸能人などで有名な話ですね。

よくあるトラブル

目元に限らないものもあるのですが、以下のようなトラブルが考えられます。

・ヒアルロン酸の過注入

 とくに涙袋で注入量が多すぎ、すなわち過注入しますと、不自然に下垂してきて目袋が大きくなったように見えます。目袋が大きくなるということは、とても老けた印象を醸し出します。

・ヒアルロン酸の過少注入

 これは単純に注入量が少なくて効果が物足りないということです。これは再注入するだけのことですから大きな問題ではありません。

・ヒアルロン酸のアレルギー

 まれですが何千人に一人ぐらいは赤くはれたりするアレルギー反応が生じることがあります。

・ヒアルロン酸が透けて青く見える

 目元の皮膚は体のなかで皮膚が最も薄い部分です。ヒアルロン酸の注入層は、涙袋は眼輪筋内ですが、目袋の下の深いシワは骨膜上といって比較的深めに注入することが多いです。しかし皮膚のすぐ下という極めて浅い層に比較的固いヒアルロン酸を注入してしまうと、青く透けて見えることがあります。チンダル現象と言われています。

 

 経験上、上記の中でよくあるケースは、涙袋への注入量が多いか、シワへの注入層が浅いなどで、目袋が大きくなってしまったケースです。しかもいずれの場合でも皮膚の浅い層にヒアルロン酸が存在するため、チンダル現象で青く透けて見えます。これがさらにクマが濃くなってさらに疲れて老けた印象になってしまいます。

  トラブルへの対応としては注入されたヒアルロン酸を溶かす薬剤「ヒアルロニダーゼ」を同じ部位に注入することです。当院ではヒアラーゼ1500単位を1㏄の生理食塩水で溶解し、気になる目元へ0.1㏄程度注入しています。注入後よりすぐに融解が始まり、数日で落ち着きます。DSCF5843

 

岐阜市薮田南 形成外科・美容外科・美容皮膚科 ぎふスキンケアクリニック ヒアルロン酸注入・ヒアルロン酸を溶かす注射(ヒアルロニダーゼ)・目元のしわ などに関する投稿

ヒアルロン酸注入の仕方

ヒアルロン酸注入

 
 プチ整形で大変人気のあるヒアルロン酸注入です。普通、関節や眼球、真皮など、人の体のどこにでも存在する物質です。
 
 美容医療に用いるヒアルロン酸は、人工的に生成されて、写真のように注射器に充填された製品です。粘性のあるジェル状のもので、化学的架橋の程度により種々の製品があり、用途に応じて使い分けます。 
 
 
 注入後は徐々に吸収され、半年から1年程度でなくなります。しかし、繰り返し注入したり、塊で注入するなど、その状況や使用した製材、部位などにより、長年留まったりすることもあります。
 

ヒアルロン酸注入の目的

 
 
 ・深い皺(法令線、下まぶたのくぼみやクマ、マリオネット線、ゴルゴ線)の下に注射してその皺を下から持ち上げ、皺を浅くします。主に皮下に注入します。
 
 
 ・浅い皺は難しいです。ちりめんじわや眉間、おでこの横皺、首の横皺、法令線の延長上の小じわなどですが、刻まれたような細い皺は真皮もしくは真皮直下の浅いところに、低架橋ヒアルロン酸を注入します。うまく持ち上がることもありますが、周囲がミミズ腫れっぽくなって不満だという声も聞きます。ヒアルロン酸自体、保水成分でもありますので、注入後、水分を吸収して少しボリュームが出たり、肌が潤い、張りが出るような効果もあります。
 
 ・輪郭形成ですが、鼻筋を高くする、顎先を出す、こめかみをふっくらさせるなど、様々な要望に対応できます。
 
 ・アンチエイジングとしてのボリュームアップ。これは加齢とともに頬が下垂したり、フェースラインにたるみがでたり、目元がこけたり、などの、たるみと脂肪の萎縮に対し、ボリュームを回復させるものです。
 
 
 たとえば日常、よく行っているもは目元のやせです。頬の頂点がたるんで下方に移動しますが、この頂点を上方へもどすべく、下まぶたのすぐ下の頬にボリュームを補って盛り上げさせます。ドールチークとも呼ばれます。
 
 ・水光注射は皮膚の表層に有効成分を微量に注入し、美肌を促すものですが、この薬剤の中にヒアルロン酸を使用することもよくあります。
 

注入時の留意点

 
 患者さんとして問題になることはいくつかありますが、頻度の高い事象は、注射時の痛みと内出血です。
 
 ①冷却 
 
 痛みを鈍らせることができます。また血管を収縮させ、内出血するリスクを低くします。
 
 ②麻酔クリーム 
 
 これは塗っておけば最初のチクっという痛みが軽減します。
 
 ③麻酔注射 

 局所麻酔剤を注射します。特に広範囲に注入する場合は神経ブロックをします。また、ヒアルロン酸製材自体に薄い局所麻酔薬が調合されていますので、連続して注射していく注入方法であれば、痛みは多少和らぐと思います。
 
 ④注入用の針 

 普通の注射針を使用すると、毛細血管を突き刺し内出血させてしまうリスクがありますが、写真のようなカニューレと呼ばれる先の丸い針を使うとそのリスクが軽減します。
しかし、このカニューレは皮膚を外から突き刺すことはできませんので、細い針で先に穴を1か所だけあけることになり、そこからこのカニューレを皮下に挿入し注入します。

 カニューレの先端には孔が開いておらず、先の側面に孔が一か所あるので、この方向を考えながら注入しなければなりません。

 また、血管内にヒアルロン酸を誤注してしまう事故を防ぐ意味でも安心の針です。

目元におけるヒアルロン酸注入の限界

 しわといっても、小じわ、大きな深いしわ、表情でできるしわ、縮緬じわ、などいろいろあるのですが、部位としわの種類によって提供する治療法は違います。

 
 
 下記URLに目元のしわについて、その種類を示しました。
 目元のしわ、種類と治療

 今回は大変人気のある、目元へのヒアルロン酸注入で安全に何ができるか、考えてみました。

 

もっとも多い適応部位

 ヒアルロン酸注入によるしわ治療の適応は基本的に大きなしわ、凹みなどを直接皮下から持ち上げるのが目的です。ですからもっともよい適応は、鼻頬溝とよばれる、目頭から頬にかけての凹みです。

・ちょうど眼球の治まっている骨の下縁に沿ってできています。
・そしてその上には眼袋が出てきています
・眼袋によりさらに溝が深く見え
・段差が大きく
・クマがひどく見える

といったこと起こっています。
 
 

 さらに、頬の脂肪体が下垂してきているので、頬の上部(下まぶたとの境ぐらい)は平坦になって、何とも元気のない、老けた印象を出すことになります。

 この凹みはヒアルロン酸を注入することで、ふっくら持ち上げることができます。
 

・溝が浅くなる
・眼袋が目立ちにくくなる
・クマが改善して見える

 また、頬の上部がハリがでて、若々しい目元に改善できます。

チンダル現象に注意

 この注入で気を付けることは、いくつかあるのですが、たまに見かけるトラブルに、

「逆にクマがひどくなった。黒っぽくなった」
というものがあります。原因はヒアルロン酸の注入層が浅く、皮膚から透けてヒアルロン酸が青っぽく見える状態と考えます。(チンダル現象という方もいます)

 また、浅く注入すると、眼袋が下に膨らんだように見え、「眼袋大きくなって余計老けた」ということもあります。

 こうならないようにするには、注入はしっかりと深い層にヒアルロン酸を置いてくること以外にありません。通常は骨の上に注入するぐらいの深さで深くから盛り上げさせるように注入します。

 さて、以上のことからわかるのですが、下まぶたの小じわや折りたたまれた皮膚のたるみ、縮緬じわなどは、ヒアルロン酸では治療が困難ということです。
よく「小じわを平らにしてほしい」という方がみえますが、小じわをなだらかにしようとするにはきわめて浅い深さにヒアルロン酸を注入することになります。皮膚の薄い下まぶたでは、青く透けて見えるリスクが高く、とても勧められないということです。

ヒアルロン酸の応用・水光注射

 では、この小じわをヒアルロン酸を使って治療できないかというと、最近は水光注射という施術があります。
 微量のヒアルロン酸(マイクロリットル単位)で非常に細かく機械で皮膚内に注入する方法です。
これはヒアルロン酸でしわを持ち上げるのではなく、微量に含まれたヒアルロン酸により、肌にハリを出すのが目的です。この2年ぐらいで徐々に普及を感じる治療法です。
 水光注射はヒアルロン酸以外にも、いろいろな薬剤を微量注入できるので、応用があります。後日詳述します。
 

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