やけどの痕は残るのか?

 前の投稿記事では、やけど(熱傷)の深さと痛みについて述べてみました。
 まとめてみますと、

・1度熱傷は、表皮まで。赤くなり痛い。
・浅達性2度熱傷は、真皮の浅いところまで。水ぶくれで痛い。
・深達性2度熱傷は、真皮の深いところまで。水ぶくれで痛みが弱い。
・3度熱傷は皮下脂肪より深いところ。羊皮紙様で痛みなし。

外来で、よくある質問は、「うちの子のやけどは、痕(あと)が残りますか?」です。この質問に簡単に答えるとすると、

「1度熱傷から浅達性2度熱傷ならば痕(熱傷瘢痕)は残らず、深達性2度熱傷より深いやけどでは痕が残ります。」

実際の現場は、さらにその中間のようなやけどもあるので、一言では申し上げにくケースもあります。

つまり、痕が残るかどうかはやけど深さによるということです。なぜかというと、浅いやけどでは、皮膚表面の表皮を再生する細胞が真皮に残存しているからです。しかし深くなれば、表皮を再生する細胞は損傷し、代わりに生き残った周辺の健康な皮膚から、表皮ではない上皮と呼ばれる表皮もどきが、やけどを修復することになるからです。これが、見た目には、やけどの痕なのです。

では、痕が残るかどうか、判断の指標です。

1)受傷時~数時間の症状での指標 (痛いか痛くないか)

 赤みだけ、水ぶくれでもかなりヒリヒリと痛いものは浅いやけどで済んだということですので、痕が残りません。しかし、水ぶくれを除去してやけどに触れられても痛くない、炭化しているといったものは、やけどが深く、痕になって治っていきます。



ところが、やけどというものは、受傷機転(火炎か、熱湯か、油か、蒸気か、化学物質かなど)によって、また、初期治療の内容、感染(もしくはばい菌の付き具合が多い)、全身状態なども影響して、受傷時にはやけどが浅く診断されても、1~3日後に深いやけどに進行してしまうことがよくあります。そこで、次の指標です。



2)治癒するまでの期間による指標 (2週間の壁)

 通院で治療する程度のやけどでは、おそらく外皮用剤や、被覆材で治療されますが、2週間以内に治ったやけどはおおよそ痕は残りません。逆に処置を開始して、もう3週間たった、なんていうケースはおそらく痕が残ります。つまり、浅いやけどは2週間以内に治る。それ以上かかるものは深いやけどであるということです。



 ちなみに深いやけどでは、皮膚移植(植皮)が適応となることがあります。よく勘違いされるのは、皮膚移植をすれば痕が残らないとおもっていらっしゃる方が見えます。植皮の痕が残ります。しかし、植皮をすることで早く治し、拘縮という、やけどのあとがつっぱってしまい運動が制限されるようなことを防ぎえます。

 途中で述べましたが、大切なことは、受傷後、やけどの深さを進行させないように治療を行うことです。不適切な判断は残念な結果につながります。(どんな病気もそうですが・・・)

 もう1点、今回は熱傷瘢痕といってやけどの痕が残るかどうかという問題の、基本的な考え方を述べました。しかし、瘢痕以外にも色素沈着が長きにわたって残存したり、逆に色素脱失といって、白っぽく抜けたように痕が残ることもあり、これらは浅いやけどでも、経験することはあります。

熱傷は、形成外科専門医にお手伝いさせていただくのが良いかと思います。

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