保湿剤の選択

 体のどの部位でも、皮膚は角質に皮脂膜、その他保湿成分を含み、バリア機能を保つように機能しています。これが、外的刺激、疾患、外傷などでドライスキンになれば、さらに様々な皮膚トラブルを起こします。

 保湿は褥瘡ケアに必須、もちろん、美容にも必須。そこで保湿剤はどのように選択しますか?ここでは化粧品の細かい話は割愛し、褥瘡や皮膚疾患に使用する薬剤を考えてみます。

ワセリンは万能薬か?

形成外科医は傷に様々な外用薬を塗布します。それらの基剤としてワセリンは大変使いやすく、組み合わせるドレッシング(ガーゼの類ですが)にもよりますが、浸出液が少なくなってからは万能薬的に使うことができます。もちろん、専門的な話をすれば、傷や皮膚の状態によってさらに適切な外用薬、ドレッシング材はあります。ワセリン自体には薬効はないので、ひとまず経過を見たい時にも使えますし、傷がほとんど治ってから、ドライスキンの予防としてワセリンでそのまま保湿を続けてもらうことも多々あります。

 私もワセリン信者になって、とうとう風呂上がりの自分の顔にも保湿目的で塗布するようになりました。しかし、最近、プロテアジャパンのエンビロンできちんとケアするようになったのですが、みるみる肌の状態が良くなりました。エンビロンについてはまた別で触れますが、やはりワセリンの保湿は良くなかったということに気づきました。

保湿剤には二つの機能に分けられます。

 ワセリンは冬の風呂上がり、体も温まって既にドライになった皮膚に塗るのは勧められません。ワセリンは皮膚の保護作用は強いですが、水分を含ませる作用は乏しいのです。しかもローションやクリームに比べて硬いので塗り伸ばしに強く皮膚を摩擦してしまい、シミには絶対よくありません。

  ✴︎エモリエント効果・・・皮膚表面に油膜を作り水分の蒸散や汚染を防止します。ワセリンがその代表です。

  ✴︎モイスチャライザー効果・・・水と結合し保湿するものです。グリセリンや尿素ですが、いわゆるローション基剤のもの、例えばヒルドイドローションなどです。

お顔のお手入れはローション、乳液、クリームといった順序を、何気無く実践していますが、使う薬剤、化粧品の性質を理解して、バランス良く組み合わせることが大切です。

 褥瘡診療においては、確かにカサカサならまずモイスチャライザーを使用し、エモリエント効果のあるものを組み合わせていくべきです。ドライスキンが軽ければ、保護目的にワセリン単剤で使うこともシンプルでわかりやすく、他剤の影響を考慮しなくても良いので合理的。稀にワセリンにアレルギー反応を起こす方もみえるので注意が必要です。

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