炎症後色素沈着への対応

 皮膚のシミには様々な種類がありますが、この炎症後色素沈着(PIH)もなかなか手ごわいシミだと思います。

 通常の皮膚科・形成外科診療ですと、けが、やけど、湿疹、皮膚炎などの痛みやかゆみが治まってきたような時期、つまり、治って何週かしたぐらいから、赤味が引いて、今度はなんとなく茶褐色の斑が出現します。日焼けも炎症後色素沈着の一種と言えます。基本的には数か月の経過で改善してくることが多いです。原因はまだよくわかっていないことも多いようですが、刺激により、メラニンの産生が亢進することによります。時間が経つと改善してくるケースが多いです。

 厄介なのは、このシミにお目にかかるのが、何らかの皮膚治療の後にもあることです。たとえばレーザー治療後、液体窒素療法後、もちろん手術後にもあり得ます。

 本来のシミをレーザーで治療、しかし、治療したら反応が強く出すぎて、炎症が長引き、色素沈着してしまい、元のシミより濃くなってしまったようなシチュエーションは、治療の内容により、十分可能性があります。予想外に強く反応してしまった・・・しかし、患者さんにしてみると、失敗してシミが濃くなった!と思われてしまいます。この状況を説明するのが私の仕事だと思っておりますが、ご理解はしていただいているけど、状況を受け入れ難いような気持ちになられております。

 とくにQスイッチレーザーという治療や、フォトフェイシャルなどでもあり得ます。また、炭酸ガスレーザーや高周波メスによる皮膚焼灼(ほくろ・いぼを取ったり)などでもあります。

 処置後炎症後色素沈着のリスクは事前に十分説明させていただきますし、防ぎ得ることに関しては十分努力義務を果たすようにしております。

 さて、炎症後色素沈着の治療ですが・・・

★基本的には待ってみることです。
★ただし、紫外線は悪化因子ですので、遮光やUVケアは必ず行います。
★また肝斑同様、摩擦なども内容に注意してもらいます。
★メラニンの産生が強い時期にはハイドロキノンを使用して抑制します。
★イオン導入、その他、肌に負担のないお手入れをします。
★トラネキサム酸の内服、ビタミンなど内服、点滴をお勧めします。

 いずれも積極的にシミを消しに行くぞという治療ではないので、消極的だ!と患者さんに言われることもありますが、下手に手出しをすると悪化を招きます。

 1年近くしてもまだ色素が残っているときは、メラニン色素の一部が、深い層へ落ち込んで取れなくなっていると考えることがあります。その場合はトレチノインや、レーザー治療など、比較的積極的な治療を行うという考え方もあります。状況に応じて判断します。

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