第2回医療アートメイク学会勉強会に参加(備忘録)

当院では、医療アートメイクを行っています。眉・アイライン・リップはコスメティックに、また、乳輪乳頭再建、傷痕カムフラージュ、化学療法後の眉毛・ヘアラインの再建などにも応用しています。

アートメイクという技術は、医療行為と法的に認められており、現在、医療機関で医師の責任のもとでしか施術できません。

色素に求められること

・レーザーで消去できること。・MRI撮影時に問題とならないこと。・酸化鉄を用いないこと。・アレルギーを発症する可能性を少なくすること。・完全オーガニックであること。と、教わりましたが、今回の勉強会では終始これらのポイントについて、深く掘り下げる内容でした。ひとつづつ見てみます。

アートメイクやタトゥ、入れ墨のレーザー治療についての問題

これらをレーザーで完全に消すことができるのは全症例のわずか1.26%のみです。著効例は多くあります。

色や部位、色素の深さなどによって、レーザー治療を何回程度行うと良いか、事前に予測するツールがあるようです。黒は取ることができます。また赤も取れます。肌色は無効です。後に述べるように黒色化が懸念されます。深いものも当然取れにくいです。深いものを治療すると瘢痕が残ります。逆に深いものは入れる時点で瘢痕となっているため、レーザーが効きにくいです。これらの理由で除去すると瘢痕のみ残ります。これをゴーストイメージと言います。彫った絵柄や名前など、わかってしまいます。重ね塗りも取れにくいです。

レーザー治療により色素が粉砕されます。ピコ秒レーザーはより細かく粉砕可能です。細かく粉砕した方が、マクロファージやリンパ組織での輸送処理がしやすく、消えやすいです。レーザー後はしばらく時間を空けた方が輸送されて薄くなります。

レーザー治療の合併症

・痛み ・水疱形成 ・痂皮形成 ・点状出血(特にYAG) ・蕁麻疹様反応(色素の変化による) ・色素沈着 ・色素脱失と白毛 ・ゴーストイメージ ・アレルギー反応(局所、全身の光アレルギー反応) ・黒色化(後述しますが茶色肌色白色を発色する鉄とチタンにレーザー照射すると黒くなります。一見黒に見えても、重ね塗りで2重に交じっていたりすると起こりますので注意)

色素を入れるときの留意点

1最小限の量を 2重ねることなく 3黒色化しない色素で 4浅く入れる

MRI撮影時の発熱問題

MRIが影響するには、静磁場の影響、傾斜磁場の影響、RFパルスの影響の3つが考えられます。静磁場では吸引力によるトラブルが問題となりますが、アートメイクに関しては磁性体の量が微量すぎて問題になることはありません。問題と考えられるのはRFパルスです。誘導電流が発生するため、ループができると発熱します。これは磁性体とは関係ないので、アートメイクのみで起こるトラブルではありません。アートメイクに関して言うならば、ループになっているデザインのタトゥで1度以下の温度上昇があるようです。とういことで理論上も実験場もあまり問題とならないようですが、過去の文献にはやけどの報告はあります・・・

色素に関する問題

色素は色素原料と水とグリセリンとアルコールでできています。色素原料には水に溶ける染料と水に溶けない顔料がありますが、アートメイクには顔料を使用します。顔料にはオーガニックとインオーガニックがあります。

オーガニックの特徴

植物由来すなわち有機物でアゾ化合物です。これは発色が良く、すべての色を表現で、安価です。しかし、レーザー治療すると色が変化することや、アレルギーの原因となりやすいこと、また皮膚内で化学変化し、特定芳香族アミンとなって発癌作用、アレルギー作用があるといわています。そこでインオーガニックの色素を使わざるを得ない現状があります。

インオーガニックの特徴

無機物でカドミウム、水銀、鉛、コバルトなどもあるのですがこれらは発色は良いが健康被害が多いことで有名です。実際にはカーボンブラック(これも発がんの可能性あり)酸化鉄、二酸化チタンなどを使用します。

paradoxical darkening

黄色や赤を発色する水酸化鉄や酸化第二鉄、酸化チタンなどで肌色として入れた場合、これにレーザー治療を行うと黒色化するという問題です。問題となる事例は古いアートメイクを消すために肌色を重ねて消すケースがあるということです。その部位はレーザー治療を知らずに行ってしまうと黒色化してしまうということに注意しないといけません。レーザーによる消去は問診の上、試しのの小範囲から始めるべきです。

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